三陸書房
今月号リレー・エッセイ2
 
(7) 内包と外延  その27

日本人の魚離れが深刻
佐川 峻 
興味深い表をお見せします。日本国民一人の1日当たりたんぱく質供給量の推移です。


食料需給表

出所:「食料需給表」農林水産省


たんぱく質源として魚と肉がちょうど、10年前に逆転しました。表からも明らかなように魚介類の落ち込みが激しいです。この傾向は、今後も続きそうです。
肉類の内訳としては、豚肉とチキンで大半を占めていますが、チキンの伸びが目立ちます。
たんぱく質源としては鶏卵もチキンに迫るくらい消費していますから、現在の日本人はにわとりで生きているといってもよいぐらいです。
今から40年以上前のことですが、会社の同僚でサバの味噌煮が好きな男がいました。毎日、同じ食堂に通ったのですが、彼が来ると店主は黙ってサバの味噌煮を出したくらいでした。彼がそれ以外の注文をしたのを見たことはありませんでした。
子供のころは、近所からくるけむりの匂いで「今日はさんまだな」とわかったものでした。
私も魚は好きで、あじフライや青魚の塩焼きを頼んだものです。今日、都内でサバの味噌煮を出す食堂というか、レストランはあまりないでしょう。
ファーストフードで私は、以前はフィレオフィッシュを時々頼んでいましたが、価格の違いもあり、最近はチキンか卵です。情けないことにまさに表通りの変化です。
この魚離れの原因については、ネットでも、かまびすしくいろんな意見が出ています。
その第一位はやはり、値段の問題です。魚が高くなっているのです。確かに、サケの小さな切り身がスーパーでは一切れ約100円です、焼いた調理済のものは200円、もしくはそれ以上になります。チキンフライの方が安くて大きそうです。
次の問題は、丸魚の調理が難しいことです。「三枚に下ろす」というのを、若い人で魚を3つにぶつ切りにすると思っていた人もいるくらいです。
はらわたを抜いて、うろこを取り、場合によっては骨を抜き、などは時間もさることながら、焼く時のけむりや生ごみの処理にも困ります。今日、家庭で魚の調理はまずしないでしょう。
このため、魚屋さんは、自宅近辺ではだいぶ前に姿を消しました。
その他にも、「骨があると食べにくい」や「パンには合わない」など、さまざまです。子供の時に食べなければ恐らく、一生食べないことになるでしょう。
娘やさらには孫を見ているとその感を強くします。
しかし、外食では結構、すしや刺身は食べているようです。魚が心底、嫌いというわけでは決してないのです。
家で食べないのは、要するに、「割高」、「料理が面倒」につきるようです。
話は少し脱線しますが、欧米人は魚の丸焼きは苦手のようです。「魚のあの目で見られるのはいやだ」と言っていました。彼らの魚料理はもっぱら何の魚かわからないフライ、フィレオフィッシュです。
チキンは卵とともに、養鶏場という陸上の半ば大量生産工場の製品ですから、安くなったのですが、魚は養殖と言ってもそう簡単ではありません。海で獲ったり養殖したりするのは、陸上よりも、労働も危険で大変です。
だいぶ前の話題ですが、染色体が3セットある、いわゆる3倍体の魚は体が大きく、食料としてよいのではというのがありましたが、遺伝子操作ということでこれも難しそうです。
なんとか魚に頑張ってほしいのですが。



◇   ◆   ◇



今回は街角の風景です。都電荒川線の電車内でハート型のつり革をみかけました(写真A)。


ハート型つり革

写真A ハート型つり革
(都電荒川線電車内にて 2019年5月7日)


私はこのつり革のちょうど下あたりにすわっていましたが、全く気がついていませんでした。庚申塚駅を過ぎたあたりでしょうか、小さな女の子が「これにつかまりたい」と言ってお母さんに抱き上げてもらいつかまり、ぶらさがりました。そして降りてゆきました。
私は「やれやれ」と思っていたのですが、隣の年配の女性が「幸福のつり革らしいですよ」と教えてくれました。改めてよく見ると、ハート型をしているではありませんか。
その後、荒川線を利用するたびにこのハート型のつり革を探したのですが、ついに見つかりませんでした。つまり、このつり革がある電車は非常に少なく、乗り合わせたのは貴重な偶然だったということです。
ネットで調べると、さすがに出ていました。ジュラルミン製のレアものです。恐らく、荒川線で数十台あるただ一つの電車の中に、ただ一つあるものらしいのです。
これにつかまると幸福になるそうです。あの女の子はそれを知っていたのです。それを偶然目撃し、撮影した私にも幸福が訪れるかもしれません。
次は、東京駅地下の東京キャラクターストリートで行われていたあるイベントの風景です(写真B)。


東京キャラクターストリートのイベント

写真B 東京キャラクターストリートのイベント
(東京駅地下街 2019年5月8日)


東京駅の地下は10年前に大きく変わりました。東京キャラクターストリートと東京ラーメンストリートが出来たのです。
キャラクターストリートには、キティちゃんやポケモンをはじめとして、ほぼすべての有名キャラクターグッズ店が軒を並べています。
その一角でこのようなイベントを行っていました。私には何のキャラクターかよくわからないのですが、大人が結構、熱心に見入り、写真を撮っていました。
オフィス街という場所柄、大人が多いのはわかりますが、皆、熱心に見ています。帽子から察するに駅員をゆるキャラ化したもののようにも見えます。
訳のわからないのが魅力なのでしょうか。それとも、ハートのつり革のように知らないのは私だけなのかも。
私は、レゴの店で欲しかったものがあったのですが、買いそびれました。





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