三陸書房
今月号リレー・エッセイ2
 
(7) 内包と外延  その29

トウモロコシを食べていますか?
佐川 峻 
先日、めずらしいトウモロコシをたべました。「ピユアホワイト」という品種で、粒が白く、水気が多く、柔らかいのが特徴です(写真A)。生でも食べられます。
私は電子レンジで少し加熱しましたが、甘く、トウモロコシのツブツブ感というか、固さはありませんでした。


ピュアホワイト

写真A ピュアホワイト(2019年7月5日)



このピュアホワイトは近隣の農家が栽培したものです。たまにスーパーなどでも売りに出されていることもありますが、通常のトウモロコシよりも少し高価です。
食用の黄色いトウモロコシは通常、スイートコーンといわれるもので、柔らかく甘みがあります。
ポップコーンには爆裂種という固い豆のトウモロコシが使われます。ゆでたり、あぶったりして水蒸気を利用し、固い殻を破裂させないと食べられません。
トウモロコシはコムギ、コメと並んで三大穀物と言われますが、日本ではほとんどが家畜の飼料に用いられています。
人の食用には、直接食べるものよりは、でんぷんを抽出してコーンスターチとして用いられるものが圧倒的に多く、プリン、ビスケット、アイスクリームなどの凝固剤や料理のとろ味を出すのにも用いられます。
コーンスターチは、食用以外に段ボールの接着剤としても用いられます。
私が子供のころは、トウモロコシをおやつなどとしてよく食べたものです。煮たものを輪切りにして割りばしに刺したものが多かったような気がします。
煮るなどの手数と時間がかかるなどの理由でしょうか、近頃はあまり食べなくなったような気がします。スイートコーンがぱらぱらとサラダやスープに混ざっている程度ではないでしょうか。
とあるスーパーの経営者が「昔は、売れ残ったトウモロコシを煮て、輪切りにして売ったら、結構評判がよく、売れて助かった」と語っていたのを思い出します。
ここまでは、「ふーん、トウモロコシとはそんなものなのか」の話ですが、これからが、日本人としてはちょっと耳の痛い話になります。
実は、牛、ブタ、ニワトリの主要な飼料はトウモロコシです。また、そのほとんど、約9割程度が、アメリカからの輸入なのです。
たしかに家畜は草やわらも食べますが、メインの肉、すなわちたんぱく質を作るにはトウモロコシなどを配合した飼料が必要なのです。このような栄養価の高い飼料を濃厚飼料といいます。
その意味では、直接に人がトウモロコシを食べることは少なくなったのですが、間接的には、濃厚飼料と家畜の肉を経由して、いまだ、大いにトウモロコシを食べていることになります。厳密には、アメリカのトウモロコシです。
ファーストフード店では、ハンバーグやチキンが人気ですが、実はアメリカのトウモロコシを食べていることになります。
話はさらに続きます。
先日、フランスで開かれた先進7カ国(G7)サミット会期中の安倍晋三首相とトランプ大統領は二人の首脳会談で日米貿易交渉は大筋、合意したと伝えられています。
その中で、日本がアメリカ産トウモロコシを大量輸入する約束をしたとも伝えられています。
その量は年間輸入量の約4分の1の250万トンですから、かなりの量です。報道では、中国がかつてアメリカからトウモロコシを購入すると約束したにもかかわらず、反故にしたことにトランプ大統領は怒っており、逆にそれを救った日本に大いに感謝しているとも伝えられています。
そのようにアメリカに恩をきせて買ったトウモロコシ、政治的判断も含め、得か損かは人と業界によって違うでしょう。しかし、「俺はそんなトウモロコシは食べないから」と言って、無縁でいられるわけではないという状況がすでにあるということだけは、すでに述べたとおりです。



◇   ◆   ◇



今月は「キノコ」です。
まず切り株に寄生しているかなりはでなキノコです(写真A)。全長10センチくらいです。丸いキノコが集まっています。


切り株のキノコ

写真A 切り株のキノコ
(東京都杉並区井草4丁目:2017年7月15日)



今年の7月後半から8月にかけて、天気はじめじめして暑かったです。このような時にキノコが大発生するそうですが、これがその一つです。
よく知られているように、キノコは菌類に属し、何か別の植物などに寄生して栄養を摂ります。細菌が生物に感染して増殖するのと基本的には同じです。キノコはそれぞれ、好む寄生先が決まっています。
次は枯れているような木に生えたキノコです(写真B)。かなり大きく、直径20cmはあるでしょうか。サルノコシカケ風です。


枯れ木に生えたキノコ

写真B 枯れ木に生えたキノコ
(東京都杉並区上井草1丁目:2017年8月10日)



元気な木には生えませんから、木にも免疫というものがあり、本体が弱ったり、死んだりすると、外敵の菌類であるこのようなキノコに侵略されるのでしょう。
写真のものが食用になるかどうかはわかりませんが、食べない方が無難でしょう。食用できるキノコそっくりの毒キノコも多く、専門家も間違うことがあるそうです。
俗に、色が毒々しいキノコは毒キノコと言いますが、色だけでは全く判別できません。おとなしい姿の毒キノコもたくさんあります。
山菜取りやキノコ狩りを趣味にしている人は結構います。しかし、我が家では、キノコや山菜をいただいても、ご厚意には感謝しますが、ひそかに処分することにしています。





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