三陸書房
今月号リレー・エッセイ2
 
(7) 内包と外延  その34

またもや出現した新型コロナウイルス
佐川 峻 
中国の湖北省、武漢を中心に発生、拡散しつつある新型肺炎は新型のコロナウイルスによる感染症である。
2002年に中国の広東省で最初の患者が確認され、翌年に大流行したSARSもコロナウイルスだった。従って、今回の感染症はその第二弾ともいえる。
コロナウイルスは電子顕微鏡で見ると、丸い本体に突起が出ていて、それがまるで太陽のコロナのように見えることからその名前がきている。
SARSでは全世界の32か国で約8,500人が感染し、約800人が死亡している。
今回の新型肺炎では、中国国家衛生健康委員会によると、中国本土における感染者は1月29日現在、5,974人で、死者は132人である。しかし、この勢いから見て、感染者数や死亡者数など、前回のSARSを大きく上回りそうだ。
前回のSARSと今回の新型肺炎にはともに、動物からの感染が疑われている点でも共通点がある。
SARSは広東省から発生したが、そこは「食は広州にあり」といわれるほど食材が豊富なところである。SARSの新型コロナウイルスは、食材として利用されている野生動物のハクビシンから来たものではないかと疑われている。タヌキからも同じウイルスが発見されている。
今回の新型肺炎は武漢の食料市場一帯から発生したとも伝えられており、そこで流通している生きたタケネズミやアナグマからの感染が疑われている。
勿論、これら動物の肉は料理して食べるので、食べて感染するというのではなく、飼育しているうちに感染したり、それら動物のふん尿や血液から感染するということが考えられる。
SARSウイルスは熱には弱いので、加熱した食材からの感染の可能性は低いと思われる。
今回の新型肺炎は新型のコロナウイルスが病原体であることは判明しているが、当然のことながら、まだ治療薬やワクチンは開発されていない。今のところ、発症したら、対症療法と本来ヒトが持っている免疫力に頼るほかない状況である。
しかし、前回のSARSの時の何らかの教訓はあるはずであり、専門家ならそれが常識となっていることもあるのではないだろうか。
それで、一つ気になるのは「水際作戦」である。簡単に言えば、発生国からの感染者の入国を食い止めるという方法である。テレビでは当初そのような言葉を連発していた。
しかし、この水際作戦ではうまくゆかないということはSARSで判明していることである。
入国者から感染者を見分ける方法は咳や発熱があるかどうかである。サーモグラフィーという物体の表面温度、この場合は体温を見るカメラがあり、発熱はそれで判定できる
ただし、これには解熱剤で体温を下げている人は発見できないという致命的弱点がある。また、潜伏期間中で発熱がないという場合も無効である。特に、今回のように潜伏期間が2週間にも及ぶ長さであれば、なおさらである。
案の定、今回の場合もしばらくしてその水際作戦が取り上げられていたが、しばらくしてあまり放送されなくなっている。水際作戦は勿論する必要はあるだろうが、それでどれだけの人が、例えば、感染疑いで発見されているかは、今のところわからない。
今回の新型肺炎とSARSは同じではないので決めつけはできないが、その有効性は疑問ということは、すでにわかっていたことではないかと思うのだが。
もう一つは、感染者および感染疑いの人の隔離という問題である。これは人の自由を制限することでもあるし、プライバシーの問題もあるので、大きな問題であるだろう。
実際には、どこに隔離するという施設の問題もある。
しかし、自分が感染することを避ける、それ以上に自分が感染したら家族や近隣に広めたくはないという思いは、誰にもあるのではないだろうか。
「こういう場合には、このような施設に隔離しますよ。隔離した後はこのような治療をし、生活することになりますよ」と、その基準なり根拠をもっと明確に、私自身は教えてほしいと思っているのだが。



◇   ◆   ◇



今回は季節外れのつつじです。最初はシクラメンと一緒に咲いている白いつつじの花です(写真A)。1月29日の真冬ですが、ぽかぽかと春日和の暖かさです。


季節外れの白いつつじとシクラメン

写真A 季節外れの白いつつじとシクラメン
(東京都杉並区井草4丁目 2020年1月29日)



シクラメンは冬の花ですから、咲くのはまあ、理解できますが、つつじは珍しいです。暖冬なのでしょう。


季季節外れの赤いつつじ

写真B 季節外れの赤いつつじ
(東京都杉並区井草4丁目 2020年1月24日)



これは道路わきのつつじです(写真B)。時期は先ほどのとほぼ同じです。葉は枯れ気味ですが、立派に赤い花をつけています。花粉を運んでくれる蝶や蜂がいないのがさびしいです。





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