三陸書房
今月号リレー・エッセイ2
 
(7) 内包と外延  その36

集中と分散
佐川 峻 
新型コロナの蔓延が目前に迫っています。心配なのは、感染者の増加が加速度的なのと有効な手立てがまだ打てていないことです。
静かな感染爆発がすでに生じているように見えます。
感染して1、2週間後に発症するのですから、現在、発表されている感染者は、それだけ以前に感染した人たちです。その人たちが急増しているのですから、このままでは、更にこれから1、2週間の運命もほぼ定まっているわけです。
都市封鎖もやむを得ない状況ではと思うのですが、後から見ると政治的判断はおおむねいつも遅れます。この原稿は、3月30日に書いているので、翌日には緊急事態宣言が発せられている可能性はありますが、おそらくないでしょう。
都道府県別に3月30日午前10時半までの累積感染者数を見ると、トップが東京都の430人、次いで大阪府208人、北海道175人、愛知県167人などとなっています。
北海道を除いて、いずれの地域も工業、商業の集積地であり、大都市圏を形成している地域です。
これから誰でも、大都市、すなわち人口が集中している地域で感染者が多く、かつ増加傾向が著しいということに気が付きます。
ということは、人と人との接触数が流行を左右する重要な要因であるということを示唆しているのではないでしょうか。
逆に、北海道のように当初は雪まつりなどのイベントで外国人を含めた観光客が多かったり、寒い地域柄、密閉した建物に集まりやすいなどの要因で一時的には多かった地域でも、大都市圏が形成されていない場所では、その後の増加がそれほどでもなかったりしています。
都市への人口集中は、効率化の結果です。
東京がその象徴ですが、政治の効率化による官庁の集中、工業と商業の効率化による企業とそこで働く人たちの集中です。
もちろん、政治の効率化と工業、商業の効率化は、一体化しています。名古屋や大阪は商業と工業の集積地ではありますが、政治と企業の本社機能の集積では東京圏に及びません。
考えてみれば、政治、工業、商業の効率化は外国をも含めた人と人との接触数の効率化ですから当たり前ではあります。
この人と人との接触数の効率化が新型コロナ流行では裏目に出たわけです。
「集中」とか「効率化」というのが、どうも都市や工業、商業、さらには政治のキーワードらしいのですが、少し、用心した方がよいようです。
このオリーヴで以前、日本の食糧問題を扱いました。
日本は食品添加物や遺伝子組換え作物などで、アメリカやカナダ、さらには中国からの輸入作物に苦戦を強いられているのが明らかでした。
これらの国々では、広大な耕作地に穀物や野菜を大量に集中生産しています。効率的なので、価格は日本のものよりもかなり低くなっています。
作物の大量生産は効率的なのですが、害虫や天候異変などで大きな損害を受けやすくなります。それを、遺伝子組換え技術や農薬、添加物で防ぐという考えです。
しかし、集中的、効率的に生活しているヒトには今回、新型コロナウイルスという不意打ちがありました。作物にもこのような災害が生じないとは言えないでしょう。
エネルギーも石油や原子力という大規模な製油所や発電所に依存しています。大量生産で、効率的だからです。
日本は福島の大事故でその教訓を得たはずです。
いつも思っていることがあります。それは楽しいことでは人は効率というものを考えないということです。結果など考えずにおよそ膨大な時間を費やします。
好きなスポーツや音楽、さらには囲碁、将棋、麻雀などのゲームでもよいのですが、それらを楽しむ際には効率的になどということはおよそ考えません。できるだけ長く楽しみたいと思うはずです。
恋愛などにいたっては、効率的に恋愛しようなどと思うはずもないでしょう。
確か、アインシュタインが相対性理論の説明として言った言葉のはずですが、「熱いストーブの上の10分と好きな人との10分ではまるで長さが違うでしょう」というのがあったと思います。彼は魅力的な女性には弱かったと伝記にはあります。
本当に価値があるものには効率という言葉は関係ないのです。2番目に大事なことに集中、効率と騒ぐのです。
ちょっと脱線しましたが、目先の利益のための集中ではなく、分散の持つ利点をもっと追究したいものです。



◇   ◆   ◇



今回は街の風景です。これは壁に掛けられた日時計です(写真A)。


壁の日時計

写真A 壁の日時計(東京都杉並区上井草1丁目2020年3月11日)



始めて見たとき、壁にあったのでこれはなにかの看板かなと思ったのですが、よく見ると日時計でした。時計にもある「Haru`sKitchin」という住宅街にあるレストランで、この店のマスコットです。
示されている時刻は影からは大体、午後1時半くらいですが、腕時計では1時40分でした。かなり正確です。季節によって誤差があるので、この程度の正確さは大したものです。日時計ですから、朝は7時から夕方は5時までの時計となることはやむをえません。
次はアンパンマンたちのデコレーションです(写真B)。左はドラえもんですね。右は、順に青いばいきんまん、そして黄色いドキンちゃんです。


アンパンマンのデコレーション

写真B アンパンマンのデコレーション
(東京都杉並区井草4丁目2020年3月16日)



よく見ると、小さいですがその他沢山のキャラクターが置いてあります。
夜もきれいです(写真C)。アンパンマン、ばいきんまんと、ドキンちゃんがよく光っています。実は中央の青白いばいきんまんは点滅していて、映すタイミングをうまくとるのが、結構、難しかったです。
左のドラえもんはあまり光りませんね。アンパンマンの左上の白いキクのような花も造花で、青く、赤く、光っているのが分かります。


アンパンマンのデコレーション(夜)

写真C アンパンマンのデコレーション(夜)
(東京都杉並区井草4丁目2020年3月18日)



クリスマスシーズンになるとかなり凝ったデコレーションツリーも見られますが、オールシーズンのこの手のものは珍しいです。



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